わたしの今月の一冊 七冊目


ども、loiolでがす!

この企画を始めてからだいぶ経ちますが、前の「一切本なんて読まない」って頃に比べるとはるかに身の回りに本があるようになりました。

が、段々と「ちょっとだけ読んでほったらかしてる本がたくさんある」っていう風になっております。

で、そのちょっとっていうのが「大体言いたい事は分かった」っていう感じなのですよね。

ちゃんと読んでないからホントに私が分かっているのか定かじゃないんだけど、自分的には「あーわかったもういい」って。

つまみ食い過ぎて不遜な読み方だなあって思うんですが一冊読み切るまで興味がどうも続かない感じです。

ともあれもうちょっと読む量増やせたらなという所でございます。

では、以下、今月分です。

ご参加いただきました皆様、誠にありがとうございます。

それから見出し画像は食べる庭さんによるものです。って「食べる庭」!?

本当にありがとうございます。光ってるんですよね、絵が..光にも色んな光がありますが食べ庭さんの光は「」って感じで、おめでたい感じがして良いなって思うのです。yo, check this outです。

 

目次

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くぷ王さん - 『前世は兎』吉村萬壱

 

 

 

 

ちゃんむぎさん - 葉桜の季節に君を想うということ/歌野晶午

 

 

 

 

aさん - 傷跡/桜庭一樹

 

 

 

 

かえれちゃん2002@コミティア128さん - 週末 ちょっとディープな台湾旅 / 下川 裕治、 写真 阿部稔哉

 

 

 

 

loiol - 愛しの街場中華: 『東京B級グルメ放浪記』2 / 鈴木 隆祐

 

 

 


 

くぷ王さん 

『前世は兎』吉村萬壱

七編より成る短編集。

帯の煽り文句に「狂気、憂鬱、絶望。そこから生まれる奇異なる世界」とある通り、基本的にどの話も抑鬱的かつ歪んだ世界で密やかに生きる狂った人たちの様子が描かれる。よくもまあこれほどに読み手の生理的不快感をひきおこす表現ができるな、と感心するほどである。それでも最後まで放り出さずに読み通せたのは、文章が練られていて臨場感がありそこに興味をそそられたからである。

そこには人間というものの根底にあるグロテスクさとそれに起因する悲哀、狂った世界で狂いながらも行きていかなければならない…という切実さが表現されている気がした。セックスと暴力とグロてんこ盛りで読んでて結構ダメージを受けるので、気軽にはオススメしない。

 

こんど参加予定の読書会の課題本だったので読んだ。自分から進んで読みたくなるタイプの本ではなかったが、課題だからとイヤイヤ読んでみたら意外と面白い、という貴重な経験ができたので良かった。読書会で他の人の感想を聞けるのを楽しみにしている。


 

ちゃんむぎさん 

葉桜の季節に君を想うということ/歌野晶午

この本が出た時その年の各種ミステリベストランキングを席巻していたのをよく覚えてる。

でもその当時は読まずに、最近になってブックオフの100円棚で見かけたので手に取ってみた。

センチメンタルなタイトルで取っ付きにくそうと思っていたがそんなことはなかった。どちらかというとハードボイルド。最後まで読み終わったあと絶対にはじめのページから読み返してしまう一冊。

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aさん

傷跡/桜庭一樹

神が死んだあとの世界のお話。

神って言うのはスーパースターで、この小説の中で言う、国民なら誰もが知っていてテレビをつければその人がいて街には常にその人の歌が流れていて、みたいなアイドル、アーティスト、スター、そういう偶像としての神。

天才は孤独なのか、みたいなことや数打ちゃ当たるみたいに作り出される偶像について考えることが多いこの頃にドンピシャではまる1冊を見つけてひさしぶりにこれは当たりだろうなって手応えを感じて買った。 遺された一人の娘「傷跡」の話と、彼を愛して、または憎んで、どういう形であれ彼の生き様を見届けた人間達に残る「傷跡」の話。

 

孤独の定義が何なのかは人によるが、わたしは、孤独というのはどれだけ誰かと愛し合っても絶対に分かり合えない部分の、その一部の名前だと思う。わたしはあなたじゃない、あなたはわたしじゃないっていうその部分。だから孤独は誰にでもあってそれは悲しいことでも寂しいことでもないのかなって。

ただ、きっと「天才」とか呼ばれる人達は、「天才」って言葉一つで、他人が自分を理解できないものとして崇め奉ってしまうのかもしれない。もちろん分かり合える部分の面積も少ないかもしれない。それは生い立ちだったり価値観だったり努力ではどうしようもない所でもあるし、相手が理解を諦めてしまうせいでもある。

「普通」が何かも分からないけど、きっとスーパースターは、努力して「普通」を考える。普通の人が何を求めているのか、普通の人が憧れる特別ってなんなのか。その結果として残るのは普通なんてないってことだとも思うけど。

普通が、「大衆」とか「多数派」とか「平均点」だとして、だとしたらそれは一分一秒毎に変化していくもので、確固たるものじゃない。 結婚するのが普通子供産むのが普通、女は男と付き合うのが普通、普通はそんなこと考えない、普通はそんなこと言わない。

 

『人というのは自分を基準にして物事を判断するものよ。善良な人は優しさや善意をまっすぐ信じる。一方、心の奥に悲しみや怒りを多く溜めている人は、自分の翳を投影して、あれこそが悪だと糾弾しようとする。それでも、そんな人達にも、優しさを、日常のつらさを忘れさせるファンタジーを、あくまでも提供しようとした。』

 

いまそういう場所がどれくらいあるのか分からない。私はアイドルが大好きだけど、アイドルが見せるのはいつでもスポットライトで照らされたキラキラの夢だけじゃない。数打ちゃ当たるでステージに上げられたアイドルたちが、国民のあわせ鏡みたいに悪い意味で「みんなのもの」になって、叩いても壊れない、生き物じゃないみたいに扱われてステージの上から消えてしまう。売り物が自分自身で、それを誰かに差し出すってすごいことなのに。なのに。彼らは、私の大好きなアイドルは、お前らのサンドバッグじゃないって何度も何度も思った。

 

『いつの世もスーパースターってのはみんなの心の鏡なのよ。立ち止まって自分の心の奥底をこそみつめるべきだわ。あの子が、自分の中にいたモンスターと勇敢に対峙しようとしたように、ね。』

 

誰かにとっての小さな神様を毎日誰かがちょっとずつ殺すような地獄みたいなこんな国に生きてる。自分が何に対して怒ってるのか、何が不快なのか、何をしたら自分が満たされるのか、自分の欲しいものがわかってない人間は、何も手に入れられない。私は欲しいものを手に入れたいし、手に入れたものは大切にしたい。そしてどうか、夢を見せようと足掻いて笑顔でステージに立ち続ける人達の夢が叶うように祈っている。


 

かえれちゃん2002@コミティア128さん

週末 ちょっとディープな台湾旅 / 下川 裕治、 写真 阿部稔哉

台湾や香港に旅行に行きたいなと思い、何かガイドブックでも探そうかと思って見つけた本でした。

 

最初に香港編を読んだのですが、どちらかというと台湾編の方が読みやすいというか情景が浮かびやすい内容だなと感じました。

 

私は幼少期に父の仕事の関係で香港に住んでいたのですが、今の香港は昔の住んでいた時に感じたちょっとアンダーグラウンドな雰囲気はなく、噂で聞く限りおしゃれでイケてるタウンになっているらしく、少し寂しい気持ちになりました。まだ、中国らしさも残っているところもこの本を読んで知る事が出来て良かったです。

 

紹介した本もガイドブックの部類に入るのかもしれませんが、ガイドブックの内容が自分はどうも苦手で無縁の存在でした。

というのも旅行や違う土地に行くということに昔の自分はほとんど興味がなかったので、周りががおしゃれな場所やパワースポット、縁結びの神社などに付き合って行くとか、そういうふわふわとした関係でした。

 

紹介した本に関しては、文化の違いなどもあり情景がわかりにくい時のために写真やルビが振ってありとてもわかりやすかったです。 ですが、歴史や背景などの注釈がなく少しパソコンやスマホで調べたり、中国の文化に詳しい玄人向けの本なのかな、という印象を受けました。

著者のブログもあり、ブログも読みながら紹介した本を読むと楽しめるのかなと感じました。


 

loiol

愛しの街場中華: 『東京B級グルメ放浪記』2 / 鈴木 隆祐

街角に昔っからあるような中華料理屋を色々紹介してる本。

東京全体を中心に網羅されていて、へーこの街にこういうお店あるんだって。その街がどういう感じかとか、ここに来たらこういう感じの雰囲気とかメニューだからこういう風に頼んだらいいかもね的な。

これって今youtubeでちょうどやられてる系だなあ、って思う。

あとコートで「まち歩きの記録」ってのあるけど、近いよねっていうか、私こういうの好きなんだなあと改めて思いまして。

 

んで、読んでて行ってみたいなって思うんだけど、読んでると何かお腹いっぱいになってきて、大体分かったしおk!って結局行けてないんだけど、でも読むたびにここ行こう、って折り目をつける。

すごい細かく描写してるからホントに大量のあれこれを食べて酒飲んでってなるので、ほんとお腹いっぱいになる。

 

買ったきっかけは私の地元の大久保駅の南口に「日の出中華」ってお店があって。

子どもの時からずっとあって、今もう無くなっちゃったんだけど。

本屋で何か面白い本ないかなって何となく見ててこの本見つけて。

んで、あ、もしかして日の出出てるかな?ってパラパラめくったらあって。おお~って。

 

日の出が無くなったっていうの、食べる場所が無くなったってだけじゃなくて、風景が一つ無くなったと思う。

その通り、前は日の出が存在してるの違和感無かったけど、無くなる前とかはちょっともう通りの雰囲気と乖離があったっていうか、ああもうすぐ無くなってもおかしくないなって感じはあった。

これは一つのお店の話だけじゃなくて、それ系の店全体にも言えることで、時代の流れの淘汰っていうか。

それ系=この本で取り上げてるもので、貴重な文化遺産レポートだと思う。これから失われていくであろうものの記録。

 

日高屋とかそういうチェーン店ばっかで、安くて美味しくて便利なんだけど、昔ながらの街場中華にあったなにかが無い。そういう資本主義の弊害というか、致し方がないもの。

この本は中華料理のお店を取り上げてるけど、普通の和食の定食屋とかもきっと昔はたくさんあって、今は大戸屋とかに取って代わられてるんだろうなって。工事現場とかで働いてる人や、貧乏学生なんかが安くてお腹いっぱい食べられるための食堂。

戦後~高度成長期あたりの日本を支えるために発生し、その役目を終えたっていう所なのかもしれない。

大戸屋のチキン母さん煮定食ってのがあって、この母さんってホントの実家の母親っていうより、上京して暮らした下宿先の近くの学生が集まる定食屋を切り盛りしてたおっかさん的な人の事を指しているんじゃないかと思った。

 

役目を終えたっつって無くなって、そこにあった街の雰囲気とかすらなくなっちゃうんだけど、まあ住んでる人も変わったからしょうがないって言えると思う。

そういう店のジャンルも消えれば関わる人も消えて、街自体も様変わりして、時代そのものが変わって、価値観も倫理観も別のものになるっていう。そういう風に一切は変わり続けてきたし、いくんだなあって。

そういうのを読んでて思いました。

 

15年後にこの本を手にする人は、既に失われてしまって久しいこの店たちの事をどういう風に見るんだろう。私はどういう風に読むんだろう。


 

という感じです。

くぷ王さんの、そもそも「短編集って良いよね」って思う。せっかちなので、設定と前提とどういう話なのかちゃっちゃと知りたい、ってよく思うんですが短編集はその「あー分かった、よし次!」ってのがさっさか進むから良い。その分、短い中に面白く読ませる要素と展開を自然に構築する必要があり、「文章が練られていて臨場感があり」との事で、テクニカルな本だと思われる。

 

ちゃんむぎさんの、ハードボイルドなミステリーって事なんだけど、表紙、タイトル、著者名、どれをとっても「春っぽいほのぼのした歌集かな?」って感じでで全然そんな風に見えないのがすでにミステリーっぽさと言えるんだろうかと思う。出た時はめっちゃもてはやされたのに時が経つと100円中古ってのが切ないけど、話題になるものって本に限らず何でもそうなんだけど、そうなるとあとからジワジワ人気が出る系の方が息が長いのかな。

 

aさんの、基本的に他人って自分を映す鏡とか、人は自分が見たいものを見るとかってよく言われると思うんですが、アイドルってそれの何倍も複雑な現象でその先の最終形態とかに宗教的な神とかってのがあるんだけど、とにかく「大衆が望んでいるもの」の具体的な形がアイドルってものなのかと思う。宗教が「個々人が抱える概念的苦痛」みたいなものを肩代わりする生贄だとしたら、アイドルって「個々人が実現したいけどできないファンタジー」を代わりに体現するようなものかなとか。

 

かえれちゃんさんの、読書感想の対象として「ガイドブック」って盲点だったなって。ついるるぶとかを想起しちゃうけど、実際旅行記的なガイドブックってあって、そういうのってそれぞれ視点が特殊で見せ方も普通じゃないし読み物として確かに面白いのある。著者の視点っていうフィルターを介して描かれる世界って意味だと創作物と近しい読み応えがあって然るべきな気がする。

 

と、

今回の感想文でした。

くぷ王さんが読書会って事で、一つの本をみんなで読んで感想言い合うっていうの、そういう形態のものがあるって以前から何となく知っていたけれど改めて考えるとそれって結構面白そう

一度自分が読んだ内容を知っている本が、他人からみたらどういう風に映るのか、そこに自分の感想と差異があると「へーそういう見方があるんだ」とか「自分は結構てきとうに読んでたんだな」とか色々気づきがありそうで面白そう。

アマゾンのレビューとかでも、自分が読んだ本のレビューを見るの何気に楽しいし、こういうのも本の楽しみ方の一つかもなって気づきました次第です。

これも、これまで色々本を読んできたからこそ気づけた事であって、何事もやり始めてみないと何がどうなるか分からないものだなと思う次第でございます。

 

では~:D