青木 真由実さん-喫茶 むぎ子の部屋 第11回


 

11回青木真由実さん

喫茶むぎ子の部屋はインターネット上にある小さな喫茶室です。毎回ゲストをお呼びしていろいろなお話をしていきます。11回目の今回はアパレルブランドaosansyoの青木真由実さんにお越しいただきました。

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aosansyoができるまで

むぎママ
ようこそいらっしゃいました。
まずは自己紹介をお願いします。
青木
青木 真由実です。
aosansyoというアパレルブランドを2011年からやってます(http://aosansyo.info
ブランドはシルクスクリーン印刷やデジタル印刷をメイン表現としていて、プリントの楽しさとか、ファッションの多様性を感じてもらえたらなーと思ってます。
平日は会社員で、デザイナーしてます。それはまだ半年も経ってませんが。。
あと趣味でたま〜に音楽活動などもしてます。
むぎママ
すごい!なんか、ちゃんとこれをしてますって言えるものがあるのと、それが多岐に渡ってるのカッコイイです。
真由実ちゃんは同世代でもあるし、インターネットだけでなくリアルでしっかり活動してる感じとかなんというか、羨望もあり、尊敬もありって感じで見てます。
青木
結構昔から興味があるものはとりあえずやる傾向がありますね、中学の時に独学でホームページ作ったり、高校の時にM-1出たりとか(笑)。
むぎママ
M-1!?M-1はあのM-1ですか?!それすごいですね(笑)。
コンビとか組んで出たんですか?

青木
中学〜高校ぐらいにネットで大喜利やってて、そのサイトに居る人でM-1出てる人が何人かいて
。ちょうどM-1甲子園っていう高校生の大会も始まったこともあって、ネットで知り合った女の子と組んで出ました。結局M-1甲子園はエントリー間に合わなくて、本戦の方に出ることになったんです。2回戦落ちでした。それ以来漫才は全くしてないです(笑)。

むぎママ
1回戦は通ったんですね。しかもネットで知り合った子と!なんかネットネイティブでかつ大阪の高校生って感じでかっこいいです。

青木
相方はネットアイドルみたいな感じの子で、華があって、頭の回転早い子でしたね。

むぎママ
シルクスクリーンはどういうきっかけではじめたんですか?

青木
シルクスクリーンは高校のクラスTを作った時に楽しいなーってなったのが最初に触れた時ですね。Tシャツくんっていうやつ。
もともとイラスト描くのが好きで、大学で学んだ染色法の中では、イラストの線が一番ダイレクトに出しやすい印刷法で、しかも手軽なので自分に合ってました。
むぎママ
シルクスクリーンとの出会いは結構早い段階であったんですね。
そこからaosansyoとしてブランドを立ち上げるのには何かきっかけがあったんでしょうか?
青木
ブランド立ち上げたきっかけは・・・
大学後は就職しようと思ってたんですが、全然決まらなくて。
たまたま、大学4年の夏に応募したプリントテキスタイルのコンペで入選して、入選者の食事会が東京でありました。
審査員で居たspoken words projectの飛田さんとお話ししたり、別の日にアトリエを見学させてもらったりしてるうちに、卒業後も自宅で制作をするという選択肢が自分の中で出てきました。
ちょうど、物置になっていた自宅の1階を、親戚のリフォーム会社さんに改装してもらいました。そこらへんは親の協力があったし、本当に恵まれてると思います。
むぎママ
わたしも大学卒業後の進路がまったく決まらなかったクチなのでその焦燥感わかります。でもそんなピンチの中でチャンスというか、方向性のヒントみたいなのを見つけて道が開けていった感じですね。
青木
在学中からTシャツやトートバッグはつくってて、イベント出たりはして居ました。その延長という感じです。卒業後すぐに今の屋号をつけました。

ブランドのコンセプト

むぎママ
じゃあ卒業後すぐに活動を本格的にスタートしたんですね。
大学が美術系だと周りの友達もそんな感じの進路の人は多いんですか?
青木
卒業後どうするかということについては、私の場合はホントに、その入選と、家に作業場を置ける環境があったのがきっかけだと思います。元々は卒業後すぐにブランド立ち上げてやっていくなんて、自分に出来ると思ってなかったですから。
周りは普通に就職するか、大学院に行く人がほとんどでした。うちの学科は美術家寄りの教育だったので、アパレルとか雑貨をやってる人は元々少なかったです。今はハンドメイド市場が大きくなって手軽になったのもあって、そういう活動してる人も増えましたが。
むぎママ
確かに、昨今ハンドメイド市場ありますね〜。デザフェスとかも盛況だし…。作り手と買い手がWinwinっていう実感はあるんでしょうか?一般化した分ライバルが多くてやりづらいとか、逆にやりやすいとか?
青木
片手間でハンドメイドやってる人と一緒にされたくない、みたいなのは当初からあります。
それで、もっと規模を大きくしたり、ちゃんとしたアパレルブランドっぽい方に進むことも考えたんですが、それも自分に合ってない感じがして。最近はどちらでもない、自分なりのバランスを追求しようという感じになってます。

minneなどのハンドメイドサイトや、STORES.jpなどの機能が充実して、印刷も安くなって、そういう面ではやりやすくなった。
でも作り手が増えた分、見る側も飽和してきてる感があって。他の人がやらないことをやったり、作家性みたいなものを強めていくべきだなと最近改めて思います。

むぎママ
ネットショップが気軽にだれでもできるようになったってのはデカイですよね。競合が増えてきた分、マーケティングも必要だし、でもどこかで見たことがあるようなものはつまらないので、作家性も必要ですよね。アーティスト性というか、自分のやりたいことを失わずに、かつひとりよがりにならず痛くならないように気をつけるというのはどんなインディー活動にとっても命題ですね。

青木
ひとりよがりになりすぎると売れない、売れなさすぎると悲しいので、そこらへんは命題ですね!元々、小規模だからこそニッチなモチーフとか個人的な思いを入れたデザインをやりたいと思ってて、そこに共感してくれる人が居たら嬉しいなーみたいな、赴くままに作ってた感じでしたが。最近は独自性があって、かつ喜ばれること・面白いことは?みたいなことを考えます。難しいですけど!

むぎママ
そうそう、そのニッチなモチーフはaosansyoの面白いところだなあと思ってます!

青木
ニッチなところは大事にしていきたいです!作り手も買い手もニヤニヤできるので。

むぎママ
ニッチなテーマはいつもどうやって決めてるんですか?海洋生物とか、動物中心なのかなあと思ってたらこの間は喫茶店テーマでやってましたし!

青木
テーマは、その時に自分が興味があるものから選んでます。自分の場合は、そうじゃないと気持ちが入らないです。
動物が多いのは、博物ふぇすてぃばる!というイベントの反応が良いのも影響してます。そこに来るお客さんはマニアックで熱量がすごいし、購買意欲も高いので、こちらもモチベーションが上がります。
純喫茶は、数年前からすごく好きになって。ちょうど香山哲さんと本を制作する話が出て、香山さんも喫茶好きなので、今だなと思ってやりました。

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むぎママ
自分の興味あるものを取り上げて掘り下げて作品にしてくって一種の研究活動みたいだなって思います。純喫茶の時は本も出してたし特にそういう感じだったかもしれませんね。

青木
研究活動みたいなところはあります。掘り下げるうちに、より詳しくなったり好きになったりして、作品を見てもらうことで同じ興味の人とつながれたり。そういうのが幸せですね。

喫茶天国

むぎママ
わたしも喫茶店愛に関しては何か作品にしてきちんと残したいですね〜。

青木
むぎちゃんも喫茶好きですよね!前にtwitterにあげてた「おもいつき」っていうところめっちゃ気になってます。

むぎママ
「おもいつき」は最寄りが新神戸で、一見すると民家のようなんですが、ちゃんと看板もあるので勇気を出してぜひ入って欲しいですね!三姉妹でやっておられるお店で、めちゃくちゃアットホームでした。三姉妹のお母さんが思いつきではじめたお店だから「おもいつき」だそうです。素敵でした。

青木
おもいつき、確かに入るのにちょっと勇気が要りそうな気がしてたんですが、やっぱり良さそうなので、近いうちに行ってみます!ありがとうございます。

むぎママ
真由実ちゃんの最近のお気に入り喫茶はどこかありますか?

青木
梅田付近で最近好きなのは「ドリヤード」新梅田食堂街の中で、夜遅くまでやってて良いです。あとやっぱり「サンシャイン」は正統派で好きですね。
最近行けてないですが、日本橋の「オランダ」というところも好きです。電気街・ヲタクの街で、あの店の中は純喫茶の空気。前にカフェオレを頼んだら、コーヒーとミルクが別々に出てきて珍しいなと思いました。

むぎママ
「ドリヤード」は新梅田食道街なんですね。名前に覚えがなかったけど行ったことあるかもしれません。「サンシャイン」と「オランダ」は知らなかった!大阪はやっぱり喫茶多いですね〜。
日本橋だったら「アメリカン」は行ったことあります。

青木
「アメリカン」、めちゃ良いですよね。「純喫茶アパレル」のスカートなどになっている総柄のプリンサンデーは、「アメリカン」のものがモデルなんです。

むぎママ
おお〜!そうなんですね!「アメリカン」は2階まであってちょっとラグジュアリーな雰囲気もあるけど客層はスポーツ新聞読んでる大阪のおじちゃんって感じでTHE大阪の喫茶ですね。フード類も豊富で美味しい!

青木
そうそう、ラグジュアリーで、景気良かった時代の感じがして良いですね。プリンめっちゃ美味しい。

むぎママ
船場センタービルの「三輪」って行ったことありますか?

青木
「三輪」も1度行ったことあります!赤いソファーがずらっと並んでるとこですね。結構ディープな雰囲気で良かったです。

むぎママ
そうそう。赤いソファーで、給仕のおばちゃんたちも赤いワンピースで。なかなか濃い世界観ありますよね。「純喫茶アパレル」をやるにあたって結構たくさんのお店に行ったんですか?

青木
「純喫茶アパレル」の時は、特に意識して色々行くようにしてましたね。それまでに行った店で撮った写真なども参考にしましたが。藤沢の「ジュリアン」のペアソーダは実際に一度頼んでから入れたかったので、東京出店の際にわざわざ行きました。他のもほとんど、実際に行った色んな店のものがモデルになってます。

むぎママ
へえ!珍しいものをモチーフにするっていうのはやっぱりaosansyoブランドの共通のテーマだからそこは大事にしてるんですね。旅先の喫茶店もいいですよね。年末年始に和歌山の勝浦に旅行に行ったんですがなかなかの喫茶天国でした。

青木
和歌山も色々良いところありそうですね!和歌山だと「ヒスイ」は行ったことあります。

むぎママ
調べてみたら、ヒスイすごいよさそう。なかなかロマンチックな建物ですね。勝浦ではインベーダーゲームの筐体テーブルが残ってる喫茶店がありましたよ!

青木
インベーダーゲームの筐体はロマンですね、世代ではないけど(笑)。

むぎママ
インベーダーがあったのは「」というお店でした。カウンターとテーブルがあって、筐体は二台現役で動いてそうでした。

青木
「七」調べたら、食べログの評価が1件もないけどそれがローカルっぽいし、外観もそそられます(笑)。

むぎママ
ほんとだ、食べログの評価ゼロだしなにも情報登録されてない(笑)。美味しかったし常連客の第一次産業に従事してそうなおじちゃんたちが仕事終わりにコーヒー飲みながらママを囲って駄弁ってるのが良い光景でした。ローカル感は旅先の喫茶の醍醐味だと思います!古い喫茶店って、夢ありますよね。今の感覚だとなんでテーブルがゲームになってんの(笑)って感じですけど。合理主義ではかれないワンダーがあります。着色料たっぷりのクリームソーダとかもそうですけど

青木
合理主義ではかれないワンダー!そういう昔の文化の面白さがそのまま残ってると嬉しくなりますね。

ドイツでの体験とこれからのこと

むぎママ
aosansyoでドイツ旅行をテーマに作品を作られてたこともありましたね。これに関してはどんな思いでものづくりされましたか?
青木
ドイツは、行ってみたら想像の100倍ぐらい良かったんですよ。
単なる観光旅行ではなく、airBnBで借りた家で1ヶ月生活する。自炊して、近くのカフェで作業して、たまに観光地や蚤の市に遊びに行く、みたいな感じで過ごしました。
もちろん連れて行ってくださった方とか、周りの助けもあってこそでしたが、違う土地で生活してみて良い刺激があったし、視野が広がったと思います。

むぎママ
わたしは海外旅行未経験なんで、airBnBとかめちゃめちゃハードル高い世界に思えますが、それ聞くとワクワクしますね!楽しそう。

青木
たまたまドイツという場所でしたが、「今いるところと違う環境で暮らしてみる」ことの良さを伝えられたらと思って作ったというのがあります。コレクション名もあえて、「trip」とか「journey」ではなく「 My migration(私の移動・移行)」という単語を使ったんです。

むぎママ
旅行という感覚ではなく、行動範囲を拡張するって意味合いでその言葉を選んでいるの面白いですね。
青木
「My migration」については1年単位のコレクションなので、今後も新商品を出したり、改めて商品の紹介をしたりする予定です!
むぎママ
今後も展開があるんですね!楽しみですね。ではそれに関連して、今後の活動の予定をもうちょっと教えて下さい。また、今年の目標やこれから作りたいもの、創作物以外にやってみたいことなど…
青木
今年の目標としては、ひとつはWebでの販売を強化すること。ストアで買ってくださった方への梱包や同梱物に力を入れたり。Webを強化するために他の活動がある、というイメージです。
もう1つは、aosansyoのお客さんは女性6:男性4ぐらいの割合なのですが、ぱっと見はレディースのブランドという印象を持たれがちなので、今年は男性にアプローチできるものを増やして、ユニセックス感を強めたいなと思ってます。
他にも色々考えてますが、、ひとまずそんな感じですね!
むぎママ
ネットで買ったものが梱包がかわいいとテンションあがりますよね。aosansyoの活動以外ではいかがですか?
青木
「しねしねこうせん」という名義でソロの音楽活動をやってるんですが、曲が増えてきたので、そろそろアルバムを出したいと思ってます!今年こそは。
ちなみに、aosansyoのこの動画のBGMも自作曲のひとつです。こういうなんとも言えない暗めの曲が多いです(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=1rboIHGTL-A
むぎママ
DJ活動なんかもされてますもんね。
青木
あと運動不足がやばいので、運動を習慣づけたいです。少し体を動かすと、気持ちも前向きになりやすい。今年に入ってからほぼ毎日youtubeのヨガ動画を見ながら家でヨガをやってるので、それは継続したいし、面倒な家事とかも、運動だと思ってやれば進めやすいと思います。
むぎママ
わたしもヨガ一時期は通ってましたが今やめちゃいました。軽くストレッチは今でも夜寝る前続けてますが…運動大事ですね。クリエイティブな話もたくさんしましたが何よりもかによりも健康一番でやっていきましょう!aosansyo以外の話題があまり掘り下げられなくて申し訳ないですが、あとは各自真由実ちゃんの活動をぜひ追ってみてください。今日はありがとうございました。
青木
いえいえ!aosansyoのことを結構話せたので良かったです!こちらこそ長くなってすみません。楽しかったです。

わたしが青木真由実さんと出会ったのは大阪にあるシカクというミニコミやイベントをおこなっているお店で、小林銅蟲先生の個展のオープニングパーティだったと思います。そのイベントでもTシャツの制作をaosansyoでされてたんですよね。で、その時からのお付き合いですが、クリエイティブなことをしっかり地に足つけて続けているし、本当に真面目な方だなと思いますね。身の振り方とか自分を反省して活かす態度とか、人柄の良さとか少しでもこの対談で伝われば嬉しいです。
作っているものもとても素敵だし、自分で欲しいなってものだったり、人にプレゼントであげたいと思えるものが見つかると思うのでぜひネットショップや展示会など覗いてみて欲しいと思います。

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