見知らぬ音楽に出会う – Armando


見知らぬ音楽に出会う、今回は「Armando」さんです。ちょっと聴いてみそ。

 

シンプルは常にフレッシュ

音楽に限らず、色んな所でシンプルである事の貴重さというか重要さが説かれたりしますが、古くはレオナルドダヴィンチが「単純であることは、究極の洗練である」と言ったとか。シャネルやアップルの創始者たちもシンプルが、みたいに言ってたりします。思うに、これは純度の問題だと思うのですね。目に見える大きさじゃなくてクオリティの核心部分、という考え方において、そのたった一粒のコアが最重要なのであってそれさえ確かであればそれを用いて色々展開できる、みたいな。

 

アシッドハウスというコア

今回のArmandoさんは80年代後期から90年代初期の米DJで、ジャンルとしてはシカゴ系のアシッドハウスのお方。通常のハウスというともっと明るくてどっちかというとR&B的なディスコ的なビートに黒人系ロマンチックなストリングスと歌謡をベースにした的な印象がありますが、アシッドハウスは無機質ディープでアシッドの名の通りドラッグ的。どっちかというとその後のクラブ音楽の根幹をなすエッセンスの源かと思います。つまりいわゆる現代主流音楽の一つのコア。シカゴ発祥といえどその後デトロイトに飛び火してよく聞くデトロイトテクノの発展を促したり、DJらが活動の場をヨーロッパに移した事でレイブカルチャーの一翼を担ったとも言われています。

Armandoさん自身は1996年にわずか26歳で白血病で夭折されてしまっておりますが、今回の曲とか他のリリース作品は若干ハタチそこそこで作った事になる訳でして。実際当時の他のアシッドハウスと聴き比べても他のはあまりにもチープでシンプルというより何か足りない感じがするのですがArmandoさんの場合、必要最小限で十分に聴かせてくる、或いは現代の他の音楽に比べて無駄が無い分聴きやすい、というか新鮮に聴こえたりします。

 

クラシックなもの

よく言う「ミニマル」という言葉も必要最小限な感じを彷彿させますが、個人的には、シンプルという言葉とはやや意味合いに差異があると思うのですよね。ミニマル、というのはその状況を描写していて、シンプルは混じりけのない普遍性を帯びたエッセンスと言いますか。いくらミニマルなものでもそのエッセンスがなければ貧相なだけ、みたいな。そしてArmandoの音楽もミニマルというかシンプルだと思うのですがここで気づくのはその色褪せなさなんですよね。と言ってもリリースされてから20年そこそこしか経っておらずあと30年後くらいにも聴けるかってところなんですが、いわゆるクラシック音楽とは別に「歴史があって評価が定まってるもの」をレジェンドとかクラシックとか言いますけど、シンプルなものほどクラシックになりやすいと思う訳です。

 

シンプルなものの相乗効果

今回Armandoに出会ったのも、そういうシンプルさをどこかで求めていたからかもしれないのですが、というのも自宅のBGMとして音楽をかける際、音楽を聴くのが目的だったら色々ありますけどあくまで何か別の事をしているときの作業用BGMだった場合、音楽にあまり気を取られたくない訳でして。そうなるとガチャガチャしたものは適していない(例外としてxtcは良いのですが)。

ポップミュージックはダメ、レゲエはつい意識を持っていかれてしまう、水の音みたいな環境音楽はなんか人生とかについて考え始めてしまうなどなど。ジャズだろうなって思ってたんですがこれが聞き慣れたフリージャズ的なブロークンなもの以外は結構ついつい聴いてしまって効果的ではなかったんですね。それで色々持っているCDを再度見ていましたら過去入手したArmandoと、リッチーホーティンによるミニマルテクノで有名なMinusレコードのコンピの二枚に当たった訳です。

自分の中では両方とも音も展開も少ない古いテクノってイメージだったんですが今回の検証でまったく別物だと思った次第でして、やはりミニマルと名のついたものは「ミニマルですよーーー」って主張が実は強いんですね。わかったからっていうくらいミニマル。そんなにミニマルミニマルされるとどうせこんな感じなんでしょ?みたいに予想がついてつまらないというか、実際ここでこんな風にしたらミニマルじゃなくなる訳だからこうなるはずだって思ってると大体そうなる。そうなるっていうか、ミニマルな訳だから何も起こらない。何も起こらな過ぎて、聴いてなくても良くない?ってなる(好みの問題なので、それが良いっていう人がいるのも承知しております)。

んで、Armandoがハマった訳なんですがそのシンプルさは、何も入れないブラックコーヒーに似てるというか、何の柄も色も無い無地のシャツに近いというか、整理整頓されたテーブルに紙が一枚だけある、みたいな環境にぴったりハマる上に集中力の増加に一役買うといいますか。ミニマリストという言葉がありますが個人的にはシンプリスト(と言うんでしょうか)の方が合うと思う次第です。

 

一枚と一つ

話が逸れますが、シンプルとミニマルの違いでいうと、シンプルなのは統一性で、ミニマルなのは最小の数、という感覚があります。統一性があれば数に左右されないという事になる訳ですが自ずと数も少なくなっていくのでミニマル性を内包してると言いますか。逆にミニマルなのは極端に少ないので不便性と少ないモノ同士なのに個性が強すぎるものによるまとまりのなさを孕んでいる気がします。

でも、とここで思うのは、例えばスマホも見た目がシンプルだし、ファッションもそういうのが流行ってると思うしこの反動が来るんじゃないのか?って事でして、あと5年もしたらもっとごちゃごちゃしたものがもてはやされる可能性も多いにあるのでは..と。

そういう..

フューチャー的な..