屋敷神を探そう!


こんにちは。

今回のまち歩きの記録ですが、これまでは実際にいろいろな街を歩いてみて、そこで見つけたものを紹介していましたが、今回は「こんな切り口でまち歩きしてみると面白いよ」っていうのを紹介してみたいと思います。

住宅街を歩いているとたまに敷地内に鳥居がある家を見かけませんか?これまで住んでいた大阪・兵庫の阪神エリアではあまり見かけなかったのですが、関東に引っ越してきてよく見かけるようになり、気になって調べてみました。
家の庭などにある鳥居や祠は屋敷神というそうです。

屋敷神とは

屋敷神(やしきがみ)は、屋敷に付属している土地に祀られている神・神社のことである。
屋敷神は屋敷およびその土地を守護する神で、屋敷の裏や敷地に付属した土地もしくはやや離れた山林などに祀られることが多い。その呼ばれ方は地域によって様々である。家との関わりが深い神であるが、神棚などの屋内神とは異なり、原則として屋敷の中には祀られない。屋敷神を祀る信仰は、浄土真宗の地域を除いて全国に分布している。

屋敷神の起源は明確なことは分かっていない。しかし、後述するように、神格としては農耕神・祖先神と同一の起源を持つ神だと言われている。特に祖先神との深い繋がりが指摘されている。

日本では、古くから死んだ祖先の魂は山に住むと信じられてきたが、その信仰を背景として、屋敷近くの山林に祖先を祀る祭場を設けたのが起源だと考えられる。古くは一般的に神霊というものは一箇所に留まることはなく、特定の時期にのみ特定の場所に来臨して、祭りを受けた後、再び帰って行くものだと信じられてきた。そのため、山林に設けられた祭場は当初は祠などではなく、祭祀のときのみ古木や自然石を依代として祀ったものだったと考えられる。祠や社が建てられるようになるのは、神がその場に常在すると信じられるようになった後世の変化である。屋敷近くの山林に祀られていたのが、次第に屋敷の建物に近づいていって、現在広く見られるような敷地内に社を建てて祀るという形態になったと思われている。屋敷神が建物や土地を守護すると信じられるようになったのは、屋敷のすぐそばに建てられるようになったからだと考えられる。

また、一族の祖霊という神格から屋敷神を祀るのは親族の中でも本家のみだったが、分家の台頭により、次第にどの家でも祀るようになっていったと考えられている。

ところによっては、一家一族の守護神であった屋敷神が、神威の上昇により、一家一族の枠組みを超えて、地域の鎮守に昇格することもあった。

以上、ウィキペディアより抜粋でございます。

「自分の家にもお稲荷さんがあって〜」というような話を人からたまに耳にすることもあり、興味を持つようになりました。

最近では見かけたら写真を撮るようにしてますし、個人的に調べたことをもとに漫画に描いたりもしています。

屋敷神というのはたいてい、こんな感じで人の家の敷地内にあります。鳥居と、祠がセットになっているものがオーソドックスです。

ただしこういったタイプの屋敷神は都心には少ないです。東京都内は土地が少ないので一戸建てのお庭で、土地面積を贅沢に使っているお家はあまりないように思います。

そのかわり、マンションの敷地内であったり、会社の敷地内なんかには残っていることがあります。


上は品川区のマンションで見つけました。下は目黒区の協和工業株式会社という会社の敷地内にありました。

屋敷神の現代的解釈

現代の、特に都心の住宅事情を考えると屋敷神を残していくことは難しいのかなとも思われます。実際、土地の売却や引っ越しの際には屋敷神が敷地内にあることがネックになることもあるようです。売却された土地内に祠や鳥居などがあった場合、買主によっては事前に取り壊しなどの処分を要求することもできるそうです。
ですが、実は敷地内にある屋敷神・邸内神祠は非課税財産になるんだとか。宗教的信仰心ではなく、そういう意味合いで残している人もいるかもしれません。

また、引っ越しに際して新しい土地にそのまま移設するというケースもあるかもしれません。家を代々守ってくれた神様だから一緒に引っ越しをするというケースです。
ただし、屋敷神というのはもともと家を守る神様というよりは自然信仰に端を発したもので、その土地自体を守るためのものだったみたいです。
ご先祖さまにとっては代々の土地を守り続けてほしいという意味をこめて屋敷内に宗教的機能を設置するのかもしれません。「大切にしないとバチがあたる」という言説がセットになっているのもそのためかもですね。

ウィキペディアにも記載がありましたが、原初は祠や鳥居ではなく木や石にしめ縄がかけられているものだったと。また、和歌山にはそういう形の屋敷神が今も多く残っているそうです。
全国に分布された現代の屋敷神はそういう意味合いは薄れてきているかもしれないですね。近世になって五穀豊穣を願う稲荷信仰が全国的にブームになって土地を守る=田畑を守る=五穀豊穣(商売繁盛)=稲荷信仰という形になったのか、関東圏はお稲荷さんタイプを多く見かけます。

ただし、屋敷神の周辺に花や樹木を鬱蒼と植えているのは実は古く山林に祀られていた自然信仰の名残なんだそうです。面白いですよね。

こんな感じに屋敷神のことを意識しはじめるとこのへんは昔田畑が広がってたんだろうな、とかこのお宅は農家だったのかなとかそういう想像ができてまち歩きがより一層楽しくなります。
近世日本の農耕社会では共同体内の各戸の富を均質化する働きがあったそうなので、どこか特定の家庭が抜きん出て豊かになると「あそこの家は狐に憑かれている」というような噂をたてられて「狐憑き」のレッテルを貼られるのでその噂をはらうために屋敷神を設置しておまつりするという意味合いもあったみたいですね。ケガレは祭りによって祓われるというような民間信仰が背景に見えてきます。

屋敷神の見つけ方

まち歩きをしながら屋敷神を見つける方法についてですが、これはもう単刀直入に言ってとにかく歩きまくるしかないと思います。

古い町並みが残っているエリアだと多いんじゃないかと思えばそうでもありません。例えば旧街道沿いの宿場町なんか二時間くらい歩き回っても一つも見つけられないこともありました。

これは理由を考えてみれば宿場町のような人通りの多いところだとそれこそウィキペディアにあったような

神威の上昇により、一家一族の枠組みを超えて、地域の鎮守に昇格することもあった。

ということが起こるからなのかな、と推測したりしています。

じゃあ、住宅街ならどうか、と思うのですが、これもなかなか見つけられないことが多いです。近年になって人が住み始めた開発地域ではなく、昔から人が住んでいた下町なら見つけられる可能性が高いかもしれません。

法則性をあげるとするとやはり古くから農家をやっていて土地を持っている地主さんの家や土地には鳥居がある可能性が高いです。マンションや駐車場の一角にあったりするのはこの辺が理由でしょう。

都心の百貨店の屋上にも鳥居や小さな神社があったりするようです。まあこれは近年ビルを建てたときに縁起担ぎでできたものの可能性も多いですが一度屋上に登ってみるのもいいかもしれません。

あとは少し郊外に出るのがいいでしょう。田畑が多い地域だと古い農家のお宅には屋敷神があることが多いです。

どうでしょう。なんだかこれまでと違った見方でまち歩きができそうな気がしてきませんか?住んでいる人の息吹というと綺麗事すぎで、もっと生々しいものではありますが。

もちろん屋敷神じゃなくても自分の中でなんらかの指標を持ちながら街を探索してみるのは新しい楽しみになっていくのではないかなと思います。

皆さんも、どうぞ素敵なまち歩きを!