こんな映画をみた 『TOKYO TRIBE』


またまた◯uluで映画をみました。

今回観たのは『TOKYO TRIBE』(園子温、2014)という作品です。

井上三太の漫画作品を園子温がラップミュージカルとして映像化。まあ、結論からいうと大して語るべき点のない映画でしたが、そこをあえて語っていくというのがこのコーナーのなすところであります。

冒頭の染谷将太のラップはしっかりこの映画の世界観に引き込ませてくれる、素晴らしいものでしたが、その直後のセクシーミニスカポリスのくだりで一気に萎えましたね。ミニスカポリスのナイスバディをギャングがナイフでなぞりながら「ここが東京タワーだとすると、ここが…渋谷ァ…」とか割と長々説明するんですが。いや、そこもラップでよかったんじゃないか?と。説明や心情の発露を歌にのせるのはミュージカルの定石でしょうに。

まあ、と終始こんな感じです。演出とか役者の演技とかはすごくかっこいいのに、園子温の悪い癖でちょいちょいいらないもの差し挟む感じ。

虚構の世界作り上げでミュージカル映画というと三池崇史の『愛と誠』(2012)のほうが楽しめました。こちらもかなり破天荒でバカバカしい場面も多い作品でしたが盛りだくさんの割にテンポよくて完成度高かったですね。ミュージカル映画のご都合主義的な要素を上手いこと活かせていたように思えます。

まあ、結局のところ、この映画で語るべきところって染谷将太のラップなのでしょう。

movie2

染谷将太はこの映画では原作にはないオリジナルの役、MC SHOWとして登場します。物語の語り部として節々に登場し、ラップで狂言回しするのです。物語においてなににも干渉しないしされない…。この役というのはすごく染谷将太っぽいなと思ったのです。

これまでも染谷将太の出演する映画は何作か観ていたのですが、様々な作品で彼は物語で一番核に近いところに存在しながらも他の登場人物と交わらず、何者にも干渉されない、といった役を演じていたように思います。(『東京島』(篠崎誠、2010)、『生きてるものはいないのか』(石井岳龍、2012))

その様はまるで映画内を漂う幽霊のようだとも思うのです。それは『東京公園』(青山真治、2011)で演じていた恋人を残して死んだ幽霊の青年を思い出させました。また、映画の中の人物を演じるわけでもなく、かといってもちろんありのままの「染谷将太」でもない、からっぽの箱のような演技は長編映画初主演作となった『パンドラの匣』(冨永昌敬、2009)のことも想起されました。

また、フードをかぶった姿は代表作ともなった『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』(瀬田なつき、2011)かな、とかね。

ともかく、そんなわけで園子温がいかにこの染谷将太という俳優に入れ込んでおり、その期待に120%答える俳優がそう、コイツだ染谷将太だということがよくわかります。発声の感じとか、イマドキっぽいフロウの感じとか、ラッパーとしてのたたずまいとか全部決まってて超かっこよかったです。

その他、本業のラッパーがたくさん出てくるのも俳優さんがレベル高いラップしているのもHiphop好きには楽しめるところだと思います。いや〜Hiphopってほんとうにいいものですねと思った次第であります。